こんにちは、コウです。
私は公務員を退職し、2年半勉強して2012年の公認会計士試験に合格しました。
転職はただでさえ勇気がいることですが、社会人から難関資格にチャレンジするなんて二の足を踏んでしまう人も多いかもしれません。
「社会人になってからも公認会計士資格にチャレンジできるかな?」
と不安に思う人もいると思いますが、社会人になってから公認会計士を目指し合格を勝ち取ることは可能です。
これから公認会計士を目指す方の役に立てればと思い、自分の経験をシェアします。
目次
私の受験結果 短答式試験は2回目、論文式試験は1回で合格
2010年4月に勉強をスタート。1回目の短答式試験は残念ながら不合格、2回目で受かりました。
論文式試験は2012年に受験し1回で合格することができました。その過程を説明します。
短答式試験
①2011年5月受験 結果:不合格
勉強を始めてから1年ほど経過していたので、この短答式試験で合格し、2011年8月の論文式試験で科目合格、あわよくば一発合格を狙っていました。
しかしそんな甘い狙いもむなしくあえなく不合格に。
このときは自己採点で総得点の7割少し取れていて、「これは受かっちゃっただろ!」と安心していたんですが、この試験の合格得点率が73%と今までにない高い水準であえなく撃沈。
あと1問正解していれば合格だったので強烈に悔しかったのを今でも覚えています。
②2011年12月受験 結果:合格
5月での失敗を繰り返さないように1問1問丁寧に回答していきました。
前回の短答式試験でそれなりに点数を取れていたので、マークミスなどの凡ミスだけはしないように細心の注意を払いなんとか合格。結果は総得点の8割ほど取れていました。
論文式試験
2012年8月 結果:合格
論文式試験は1年に1回しかないので、ここで不合格となるともう1年勉強しなければならないのでとにかく必死でした。
毎日予備校に通い答練を受けて、自分ができなかったところを復習。インプット・アウトプットを繰り返して臨んだ試験本番は思った以上に緊張しませんでした。
論文式試験の合格率は4割ほどなので「自分の前と後ろの受験生に勝てれば受かる!」と信じて必死にペンを動かしました。
合格発表はインターネットで受験番号が表示される形式だったんですが、自分の受験番号があったときは本当に嬉しかったですね。社会人を経験したあと、2年半の勉強漬けの時間を過ごしたことが報われて心底ほっとしました。
社会人から公認会計士試験に合格した7つのポイント
以下、私自身が社会人から公認会計士を目指し、資格を取るまでの道のりを6つのポイントから解説します。
1 仕事をやめて退路を絶つ!
社会人が仕事をしながら勉強をするとなると勉強時間の確保や勉強へのモチベーションを維持することがとても大変です。
私の場合、仕事はそこまで忙しくなかったのですが、仕事を続けながら資格取得を目指したら「試験に落ちても今の仕事で生きていけるからいいか」という甘い言葉に自分が誘惑されるのが目に見えていました(笑)
そのため、自分は仕事をやめて退路を断って試験勉強に打ち込みました。
ちなみに「公認会計士の「お仕事」と「正体」がよ~くわかる本」によれば働きながら試験に合格している人の割合は1割程度であり、社会人が仕事をしながら合格することは相当困難であるということです。(平成24年データ)
2 短答式試験対策はLEC、論文式試験対策はTACを利用
短答式試験の時はLECのDVD講座を受講しました。当時は地方都市に住んでいて、近くに通学できる予備校がなく、講師の評判がよく価格もお手頃だったのでLECを選びました。
公認会計士サイトはこちら論文式試験の時はTACに通いました。論文式試験勉強対策はとにかく本番と同じような環境で問題を集中して解くことが重要だと思い、予備校に通学するため東京に引っ越し!毎日予備校に朝から晩まで通いました。
3 短答式試験対策はインプット中心
短答式試験対策は通信講座だったこともあり、自分で時間割を決めてやっていました。一日のスケジュールは下の表のような感じです。
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
1限 | 財務会計論 | 監査論 | 企業法 | 管理会計論 | 財務会計論 |
2限 | 企業法 | 財務会計論 | 監査論 | 監査論 | 企業法 |
3限 | 管理会計論 | 管理会計論 | 財務会計論 | 財務会計論 | 管理会計論 |
科目のなかでも財務会計論が最も重要なのでそこは毎日やることにしていました。
時間割の決め方は、財務会計論と管理会計論が計算系科目、監査論と企業法が暗記系科目として分類し、計算系科目→暗記系科目→計算系科目・・・と出来るだけ計算系科目と暗記系科目が交互となるようにしました。
短答式試験はマーク式試験なので、回答がちゃんと分からなくてもカンで回答できるので、少しでも選択肢を絞るための知識を頭に入れるようインプットに力を入れた勉強をしていました。
インプットするために同じテキストを徹底的に何回も読みこみました。1日に1科目30ページ集中して読み、重要な語句は書き出して手で覚え、答練で間違えたところや自分の理解が足りない部分は何度も反復して読み込みました。
4 論文式試験はアウトプット中心
論文式試験対策は毎日朝から晩まで予備校に通っていたので、予備校の授業科目を中心に勉強していました。
予備校の授業科目にプラスして勉強する科目を自分で決めていました。時間割は下の表のような感じです。(選択科目は経営学を選択しました)
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
---|---|---|---|---|---|
1限 | 財務会計論 | 監査論 | 経営学 | 管理会計論 | 租税法 |
2限 | 企業法 | 財務会計論 | 管理会計論 | 監査論 | 管理会計論 |
3限 | 租税法 | 経営学 | 企業法 | 財務会計論 | 経営学 |
4限 | 管理会計論 | 租税法 | 財務会計論 | 租税法 | 財務会計論 |
短答式試験より2科目増えますが、短答式試験の時間割を決めた時と同じように租税法を計算系科目、経営学を暗記系科目として分類して1週間の時間割を決めました。
論文式試験は論述式の回答方法になるので、実際に回答を書くことを勉強の中心にして、短答式試験よりはアウトプットに力を入れた勉強をするよう心がけていました。
自分が回答を書き出すだけでなく、模範解答の論理構成を覚えるため模範解答を自分の手で書いていましたね。写経です。
模範解答を見て、自分の回答と比較して何が足りないのか復習するだけでなく、模範解答の文章の流れを体に叩き込むため模範解答を丸々書き写しました。
時間はかなりかかりますが、一度文章を書くと類似の問題を回答するときにもすんなり回答が書けるようになりました。頭だけでなく体で覚えることがアウトプットでは重要です。
5 ほかの受験生と比べない。過去の自分よりも成長することを考える
勉強をしていていちばん辛かったのは、自分の受験生全体の順位が分からず、今勉強をしていることが合格につながるか不安であったことです。
もちろん模試とかを受験すれば順位が出ますが、あくまで通っている予備校生の順位であり他の予備校に通う受験生まで含めた受験生全体における自分の順位は分かりません。
そのような不安を振り払うため、自分が通う予備校のカリキュラムを信じ、他の受験生と比較するのではなく、過去の自分と比べてどれだけ点数が伸びたかだけを考えることにしていました。
6 息抜きも大切にする
とはいえ、365日気を張り詰めて勉強していたわけではありません。「平日は勉強に集中するが、土日は一切勉強をしない」と決め、オン・オフはしっかり分けるようにしていました。
当時付き合っていた彼女(現在の妻)とは、週1は会っていましたし、年に1回は旅行に行っていました。フットサルチームで週1で体を動かしていたので、リフレッシュになっていたと思います。
社会人が退路を断って資格試験にチャレンジするのは大変なプレッシャーであり、ストレスも相当なものです。あまり根詰めすぎず、うまくストレスを解消することも大切なポイントです。
7 試験勉強でもっとも大切なのは合格するまでやり通す覚悟をもつこと
試験勉強を通じてもっとも大切にしていたことは合格するまで必ずやり通す覚悟を持つことです。
試験というものの性格上、結果は合格か不合格かの2つしかありません。不合格であればそれまで勉強して頑張ったことは経験になりますが、それ以上の意味はありません。厳しいですがそれが現実です。
社会人が仕事をやめて公認会計士を目指すとなると、受かるかどうか保証もないのに、今の職を手放すというリスキーな選択をすることになります。
ただ、公認会計士は社会人経験者も多くいます。大学生のときに予備校に通いながら公認会計士試験に合格する人ばかりではありません。
上記の本によれば合格者の割合は以下のとおり。
- ダブルスクールをしている大学生・大学院生 34.7%
- 資格取得支援スクールの受講生 38.2%
- 無職 17.2%
合格者の55.4%(38.2%+17.2%)は大学や大学院を卒業後に就職しなかったか、退職した後に勉強し、合格している
(平成24年データ)
平成30年の公認会計士試験の合格者の平均年齢は25歳です。大学卒業時に合格する人が22歳とすると、大学卒業後社会人になってからも公認会計士を目指して勉強している人も多くいるのです。
社会人から勉強しても十分に合格を目指せる試験といえます。
厳しい現実を受け入れ、合格という結果をつかむまでやり通す覚悟を持って勉強に取り組むことが長く辛い勉強を続けていくうえでもっとも大切だと思います。
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