簿記

合格率1割!公認会計士が教える簿記1級の難易度

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公認会計士のコウです。私は公認会計士の資格を取得する前のステップとして、日商簿記1級を取得しています。

私が簿記1級を取得したきっかけは「公認会計士の受験をするため計算科目の練習になって、資格も取れるなら受けてみるか」という軽い気持ちでした。

会計系の資格の中で難易度が高い簿記1級の試験を軽い気持ちで受けてしまうのは今思うとどうかしてると思いますが、無事に一発合格することができました。

私が実際に資格を取得したことで分かった簿記1級試験の難しさについて解説していきます。

 

簿記1級の受験は年に2回しかない

 

簿記1級の試験は6月と11月の年に2回実施されます。

簿記2級と3級が年に3回(2月、6月、11月)実施されるのに対して2月の試験がない分、合格する機会が少ないことになります。

簿記1級の受験科目・時間は下記の表にまとめています。

簿記1級試験の概要

簿記1級試験の受験科目は4科目で、回答方法は記述式となっています。

記述式と言っても長文を記述するのではなく、大半は計算した結果の数字を記述することになります。

合格基準は4科目の総得点の7割です。

ただし、1科目ごとの得点が40%以上という条件があるので、完全に捨てる科目を作るようなことはできません。この点が簿記1級という試験の難しさの要因ですね。

 

簿記1級の合格率は約10%

 

日本商工会議所のホームページに公表されているデータをもとに、簿記1級の合格率を表にしてみました。

合格率はここ5年間は約10%です。

 

※出典:日本商工会議所のホームページより筆者がグラフを作成

簿記1級の試験は試験の得点率70%以上(足きり、傾斜配点※あり)という絶対的な試験なので年度による合格者数・合格率の上下は多少ありますが、概ね10%程度で落ち着いています。(ちなみに公認会計士試験は受験生のうち〇人を合格させる、というような相対的な試験です)

※傾斜配点には特に重要なので試験が難しくないと感じるポイント3に記載します。

公認会計士試験の合格率も約10%なので簿記1級に合格することがどれだけ大変か分かります。

 

簿記の初学者の合格までの勉強時間は600時間

 

簿記1級の合格までに必要な勉強時間はだいたい600時間かかるのが一般的です。

私の経験をベースに語ると、公認会計試験の勉強が簿記1級の勉強を兼ねていたのですが

勉強にかけた期間は8カ月、時間にしてトータル640時間になります。

仕事をやめて公認会計士の勉強に専念していたのですが、勉強を始めた当初は借方と貸方がどちらかも分からない、簿記3級の知識もない簿記の初心者でした。

公認会計士試験における財務会計論と管理会計論が簿記1級の試験範囲と概ね同じになります。公認会計士の勉強はだいたい1日8時間勉強ほどやっていたので、その半分の4時間が簿記1級と重複する勉強時間だったと仮定して合格までの勉強時間をざっくり計算すると

4時間 × 20日 × 8カ月 = 640時間

少なくとも640時間は勉強したことになります。

予備校を利用して効率的に勉強したい方には資格の大原をおすすめしています。

簿記1級は難しいのか?

 

簿記1級の試験は難しいでしょうか。

答えはYESでもあり、NOでもあります。

その理由としては試験範囲等が広いことや試験方法に難しさがありますが、勉強方法や対策をしっかり考えてやればそれほど難関ということことでもありません。

まず、試験が難しいと感じる点を3点に分けて考えます。

難しいと感じる3つのポイント

1 勉強する範囲が広い

科目数は4科目しかありませんが、少ない科目数のわりに勉強する範囲はかなり広いです。

それだけの量の知識をインプットするのにも相当な労力を要します。「ちょっと受けてみようか」という軽い気持ちの人はまず音を上げます。

試験範囲も平成28年度から商業簿記・会計学において、より実務能力の養成となるように下記のように改正されました。

「平成28年度以降に向けた改定では、企業会計に関連する諸制度の変更に的確に対応するのに加え、一般的な企業における近年のビジネススタイルや会計実務の動向を踏まえ、検定試験がより実際の企業活動や会計実務に即した実践的なものとなるよう区分表を見直し、出題項目の一部修正または追加等を行いました。」

※日本商工会議所のホームページより引用

もともと試験範囲が広かったところ、この改正により従来からある古典的な会計処理である特殊商品売買から、さらに実務で要求される為替処理や連結キャッシュフローなどが試験範囲となっています。

2 各科目とも40%以上得点しないといけない

簿記1級は各科目とも40%以上得点しないと合格できないです。

科目数は4科目ですが、それぞれ勉強する範囲が広くどうしても苦手な分野を作ってしまいがちです。

私も税効果会計や退職給付会計など、「なんだそれ、よく分からん」という論点があって理解するのに相当時間がかかりました。よく分からん論点でも最低40%は正答しなければ不合格です。

広い試験範囲の中、メリハリをつけた勉強をしながら、かつ各科目ともに必要最小限の得点が求められている。ここに簿記1級合格の一番の難しさがあります。

3 出題傾向を分析してメリハリのある勉強をしないと受からない

上記のように試験範囲は広いのですが、試験範囲の論点すべてが均等に出題されているかと言えばそうではありません。

商業簿記・会計学は出題範囲の変更により多少過去問との出題傾向からは変化がありますが、それでも頻出論点というものはあります。工業簿記・原価計算においても同様に頻出論点が存在します。

過去問からの出題傾向を分析して、しっかり理解する論点・単純な計算だけ分かれば良い論点などのメリハリをつけて勉強をしないと、合格するまでに相当な時間がかかってしまいます。

 

難しくないと感じる3つのポイント

次に試験がそれほど難しくないという3点に分けて考えます。

1 基本的に計算問題しかない

簿記1級の試験では多少文章を書かせる問題が出ますが、それも数十字程度で本格的な論述が求められているわけではありません。

計算問題についても簿記2級までの勉強をしていればその延長線上のものであり、さらに細かい論点が求められることがあるものの、簿記2級の知識のベースがあればそこに少し上澄みを足すだけになります。

よく簿記2級と簿記1級では難易度が格段に異なるという話を聞きますが、それは簿記2級の勉強が十分でないのに2級に合格してしまったのでそう感じてしまうのであって、実際は簿記2級と簿記1級の間にそれほど大幅な難易度の変化はありません。

2 頻出論点が得点源となる

これは難しいと感じるポイントの3つ目のところにも書きましたが、試験問題には頻出論点があります。

近年は簿記試験範囲の変更もあってやや新しい論点の問題も出題されてきていますが、それでも大幅に出題範囲が変わって、従来から重要とされてきている論点については引き続き重要論点として頻繁に出題されています。

受験テクニック的な話になってしまいますが、受験に合格するための勉強として過去問をしっかり理解して回答できるようになれば、同じような問題がきっと出題されるので大きな得点が期待できます。

3 傾斜配点なので基本を押さえれば高得点となる

簿記1級の試験から傾斜配点という仕組みで採点されます。

これは、予めこの問題は正解すると5点ですよ、という配点ではなく、全受験生の採点後に正解者が少なかった問題の点数は低くし、正解者が多かった問題の点数は高く調整する方法です。

何でこんなことをするか簡単に言うと、試験問題の難易度は毎回難しかったり簡単だったり変動するので、得点を調整することで試験の難易度を一定にして受験生の公平性を保つためです。

傾斜配点は正解者が多かった問題の点数が高くなるので基本論点をしっかり押さえれば高得点を取ることが狙えます。

簿記1級では難関論点や応用問題も出題されますが、合格をするために点数を稼ぐには基本論点をしっかり押さえれば大丈夫なんです。

まとめ

結局のところ簿記1級って難しいの?という問いに対する答えとしては

確かに試験範囲が広く難しい点もあるけど、しっかり簿記2級とか簿記の知識をこつこつ積み上げて勉強できていればそれほど難しくない

ということになります。

簿記1級は取得する価値のある資格です。

簿記1級を取れば就職・転職において絶対的な強みになることは間違いありません。

簿記1級を取得すれば税理士試験の受験資格も得られることになるので、さらに上位の資格を目指すという道も開かれます。

簿記1級を目指す方の予備校は、大きなところではTAC、LEC、クレアール、資格の大原があります。

私は予備校を利用したい方には資格の大原をおすすめしています。

難関試験ですが、ぜひチャレンジしてみてください!

 

予備校の比較はこちらの記事を参考にどうぞ

a href=”https://lifeworkshare.com/entry/kaikeishi-yobikouhikaku

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