公認会計士

【公務員vs公認会計士】なるならどっち?試験の難易度・仕事・年収を徹底的に比べてみた

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こんにちは、コウです。

私は新卒で公務員に就職したあと、公認会計士に転職するという異色の経歴を持っています。

自分の経歴をサラッと書くと

  1. 大学卒業
  2. 公務員(地方公務員)就職  ⇒ 退職
  3. 公認会計士試験にチャレンジ・合格
  4. 監査法人に就職
  5. コンサル会社に転職
  6. フリーランスとして独立

これから就職する方の中には、公務員と公認会計士どちらを目指そうか迷っている方もいるかと思います。

今回は自分の経験をもとに、公務員と公認会計士の仕事を7つのポイントから徹底的に比較してみました。

公認会計士は資格、公務員は資格ではない

資格試験予備校では「公認会計士コース」、「公務員コース」とかあるので、公認会計士も公務員も同じような資格なのかな?と思ってしまいますが、実は全く違います。

公認会計士は国家資格です。公認会計士とは会計・監査の専門家として国から「公認」を受けた人のことで、この「公認」をもらうために試験に合格しなれければなりません。

一方、公務員は国や地方自治体などで働く人のことで、資格ではありません

例えば公認会計士という資格があれば監査法人を辞めたとしても資格は失われることはないですが、公務員の場合は国や自治体で働くことを辞めてしまった場合、公務員と名乗ることはできなくなります。

公務員は国や自治体で働いている人なので、無職の公務員はいないということになります。逆に、公認会計士の場合は資格を持っているだけで仕事がない無職の公認会計士はいるということです。

公務員の仕事といってもたくさんあります。公務員の仕事を大きく分けると「国家公務員」と「地方公務員」があります。

それぞれ大雑把に言ってしまうと

国家公務員=の運営のための施策を企画・運営していく

地方公務員=地方自治体(都道府県や市町村)の運営のための施策を企画・運営していく

ということです。そのまんまですね。

国家公務員や地方公務員の仕事の中身もたくさんあり、警察や消防、公立学校の教師なども公務員の仕事になります。

私が経験したのは地方公務員の行政職(役所の中に机があってそこでデスクワークをする人)なので、その経験についてこれから書いていきますね。

地方公務員の王道コース:ひとつの組織で定年まで勤める

仕事のイメージを掴むために、それぞれの仕事がスタートしてから定年するまでの王道コースを例にしてみます。

地方公務員として就職した場合は下のようになります。

【22歳】 地方公務員試験に合格

【20代】 2~3年ごとにいろいろな部署(財政・企画・人事などの花形なところから窓口業務などの現場も含まれる)を回り、公務員としての仕事を覚える

【30代】 それまで経験してきた部署に応じて自分の分野の知識・経験をさらに積む

【40代】 配属された部署の非管理職の筆頭として多くの責任を持ち仕事をする

【50代】 管理職として配属された部署の取りまとめを行うようになる

【60歳】 定年

それまで勤めていた自治体の再雇用や関連団体へ就職(悪く言うと天下り)で働き続ける

地方公務員は22歳の新卒で就職する人が圧倒的に多いです。2~3割は民間企業で働いてから20代後半で転職してくる人もいます。

公務員は仕事をやめてしまうと潰しが効かないため、ほとんどの人がこの王道コースのような人生を歩み、同じ組織で働き続て定年退職することとなります。

公認会計士の王道コース:最初は監査法人でキャリアを積む。ひとつの組織で働き続けるのはまれ

公認会計士の資格を取って仕事をする場合の王道コースは下のようになります。

【22歳】 大手監査法人に就職

【20代】 スタッフやシニアとして数多くの現場で監査業務に携わる

【30代】 マネージャーとして大規模クライアントの現場での責任者として監査業務に携わる

【40代】 パートナーとして監査業務の責任者となり監査業務を統括する

【50代】 シニアパートナーとして監査業務の責任者や法人経営に関与する

【60歳】 定年退職

個人で会計士事務所を開き、体力の続く限り仕事する。

公認会計士試験の難易度は以前(といっても10年以上前)に比べれば難易度が下がってきているので、大学在学中に合格する人も多くなってきました。そのため、スタートは大学卒業後の22歳としました。

公認会計士は「会計」と「監査」の専門家であり、その専門性が最も生かせる仕事は監査法人で監査の仕事をすることです。

監査とは、という話をすると長くなってしまうのですが、簡単に言うと、企業が作成した財務書類が正しいかどうかチェックして、この財務書類は正しいですよ!とお墨付きを与える仕事です。

監査法人でキャリアを積み、定年で退職するのが公認会計士の王道コース…

とはいえ、公認会計士はたとえ監査法人を辞めたとしても公認会計士と名乗って会計の専門家として働き続けられるため、ひとつの組織でずっと働き続けるケースは多くはないと思います。

私のようにコンサル会社に転職したり、独立開業したりといろいろな道が開けています。

公認会計士と公務員の比較表

わかりやすく、項目別に公認会計士と地方公務員を比較してみました。

公認会計士地方公務員
試験の難しさ2~3年3か月~1年
合格者の出身校慶応、早稲田のほか国立大学早稲田、MARCH、地元国立大が多い
仕事の大変さ決算期は特に大変
決算期以外でも最近は忙しい
部署による
仕事のやりがい特に大企業クライアントであれば
大きな仕事をしていると実感
部署による
年収30代:900万円
40代:1100万円
30代:500万円
40代:600万円
お休み有給休暇20日/年
夏季休暇5日/年
有給休暇20日/年
夏季休暇5日/年
産休・育休取得可能だけど・・・ほぼ100%取得可能

以下、7つのポイントについてそれぞれ細かく説明します。

試験の難易度は圧倒的に公認会計士が難しい

試験は圧倒的に公認会計士が難しいです。

私の場合、公務員試験にかけた勉強期間は2か月くらいでした。

一般的には大学3年生くらいから予備校に通い始めて、1年間くらい勉強すると思いますので、かなりイレギュラーで参考にはならないと思いますが…

一方、公認会計士試験にかけた勉強時間はだいたい2年間でした。

公務員を辞め、勉強だけに専念しての2年間でした。毎日のように予備校に行って電卓をたたいたりテキストを読んだり勉強漬けの生活をしていました。

つまり、公務員試験に2カ月で合格した人も、公認会計士試験には2年間かけないと合格できないということです。

合格者の出身大学 公務員、公認会計士ともに難関大学出身者が多い

公務員の場合、高卒で働く人もいるのですが、私の周りの大学出身者としては早稲田大学などの難関大学のほかにMARCHや地元国立大学の人が多かったです。

ひと昔前はそれほど難関ではない大学出身の人も多かったようなのですが、最近は公務員は人気があるようである程度名の知れた大学出身の人しかいないと思います。

公認会計士の場合は、慶応大学や早稲田大学、国立大学など難関大学出身の人が多かったです。

特に慶応大学はとても数が多く、慶応大学のOB・OG組織もしっかり機能しているようで学閥というほどではないですが、同じ出身大学の公認会計士同士仲良くしている感じではありました。

公務員にしても、公認会計士にしても、今は難関大学出身者がとても多いという印象です。

仕事は公認会計士のほうが大変!労働時間が長く、責任が重い

地方公務員は配属された部署によって仕事の大変さが全然違うため一概には言えないですが、総合的にみると公認会計士のほうがより仕事が大変(=労働時間が長く責任が重い)と思います。

地方公務員の仕事は多岐にわたり、配属された部署によって仕事の大変さは全然違います。花形的な部署である財政や人事部署であれば、残業もかなり多く午前様になることもありますが、それ以外の部署だと定時(17時30分)きっちりで帰れるところも。

地方公務員の大変なところは2~3年で部署の異動があり新しく仕事を覚えなければいいけないことです。それだけ多様な業務を経験できるというメリットはありますが、その分多様な仕事を覚える努力が必要です。

公認会計士の監査業務は締め切りがあるので、時間との勝負であり1人1人会計・監査の専門家として責任を持った仕事をするためとても大変です。

公認会計士の仕事は特に決算期に忙しくなります。3月期決算の企業が多いので4月の後半から5月にかけてはとても忙しく、世間がゴールデンウィークを謳歌しているところを一日も休みはありません。

昔は決算期以外はヒマで季節労働者的な働き方をしていたようなんですが、最近は決算期以外でも監査手続きがあれやこれやあるので、年間を通して忙しい状況です。

監査法人で働いていたときは、帰宅が夜中になるときも多く、ときに徹夜で仕事をすることもありました。妻から「一緒に暮らしていても、起きているときに会わないね」と言われていたほどです。

仕事のやりがいは公認会計士の方が◎

自分は公認会計士のほうがやりがいを感じました。

公認会計士の場合、誰でも知っているような企業をクライアントとして全国各地へ出張しながら仕事をするという素朴なやりがいや、会計・監査の専門家として仕事をすることで自分の専門性を高めながら実際に監査業務を実施してくことはとてもやりがいがありました。

地方公務員の仕事も地域に密着した仕事でありとてもやりがいはあったのですが、どうしても定期的に異動があるので専門性を高めるのは難しいと思います。

公認会計士がスペシャリストなら、公務員はゼネラリストです。

自分にとってはゼネラリストよりもスペシャリストのほうが向いていたということかもしれません。

年収は公認会計士の方がずっと高い。公務員は楽な部署に配属されればコスパは◎

独断と偏見による年代ごとの年収は表のとおりとなります。

会計士(監査法人)地方公務員
20代600万円400万円
30代900万円500万円
40代1,100万円600万円
50代1,400万円700万円

人によって職階の上がるタイミングとかが異なるのでこれが一般的というわけではないですが、各年代ともに公認会計士のほうが収入が多いのは確実です。もちろんその分仕事も大変なんですけどね。

地方公務員は配属部署によって仕事の大変さは大きく変わるのですが、年収はそれほど違いません。

忙しい部署であれば残業代とかで多少は年収は上がるのですが、残業をしても残業代が支払われないこともあります(一部ブラック部署)仕事が楽な部署に配属となった場合は定時で帰れてそれなりにお給料がもらえるという意味でコスパは良いといえます。

お休みの取りやすさは断然公務員が◎

これは断然地方公務員のほうが休みを取りやすいです。

公務員の休暇制度はとても充実していて、年間20日の有給休暇のほか、療養休暇や子供の育児休暇など福利厚生は素晴らしいです。また、有給休暇も年間20日間くらいは取れます。

監査法人勤務の公認会計士の休暇制度はしっかり整っているものの、特に忙しいは決算期は土日もどちらかは出る必要があったり、休暇なんか取ってる場合じゃないです。

繁忙期以外でも忙しいので、有給を年間20日間使うのは難しいと思います。ただ、繁忙期に休日に出勤する代わりに、夏に平日を休みにする制度があったりするので、監査法人のほうが長期休暇を取りやすい面があったりします。

女性が出産後も働きやすいのは公務員。会計士は制度を活用している女性がまだ少ない

これも断然公務員のほうが制度がしっかりしています。

地方公務員の育休は最大3年で、ほぼ100%育休取得者が復帰してからも長く働きます。

育休後も時短制度があり、朝は子供を送ってから出勤し、夕方は子供を迎えに行くため定時前に帰宅することができます。子育てをする女性にとってはとても働きやすい環境だと覆います。

監査法人勤務の公認会計士は制度としては同じく産休・育休があり、最大3年間育休を取れるのですが、実際に3年間取っている人は見たことがないです。

監査法人も女性公認会計士の育成に力を入れており、実際に育児も仕事もバリバリやっている素晴らしい女性公認会計士の方もいました。

ただ、仕事内容が大変であったりするためか、制度としてはあっても活用できている人は多くはなかったと感じています。

まとめ

最後にどういった人が公認会計士に向いているのか公務員に向いているのかまとめてみます。

公認会計士向きの人
  • バリバリ働きたい
  • 忙しくても年収の高い仕事がしたい
  • 全国を股にかけて働きたい
  • スペシャリストとして働きたい
公務員向きの人
  • 地域のために働きたい
  • 年収よりもワークライフバランス
  • 子育てしながら働きたい
  • ゼネラリストとして働きたい

それぞれ仕事の内容・やりがいや大変さ、休みの取りやすさなどから考えたものです。これから新卒として自分の職業を考えている人も、今の仕事を変えてみようかなと考えている人も参考にしてもらえればと思います。

 

公認会計士の試験の予備校のおすすめはどれ?最新情報をまとめましたのでチェックしてみてくださいね。

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