こんにちは、コウです。
「公認会計士の資格を取りたい」と思ったとき、試験はどれくらい難しいのか?って気になりますよね。
医師、弁護士と並ぶ難関資格と言われているけれどもそんなに難しいのか。
合格率だけをみれば、公認会計士試験の合格率は約10%。司法試験の合格率は約25%なのでそれよりも低いです。
私は26歳のときに仕事をやめて勉強漬けの日々を送り、2年半かかって公認会計士試験に合格しました。
今回は、私が実際に資格を取得してわかった、公認会計士資格の難しさを解説してみます。
目次
公認会計士になるためには3つの試験に合格する必要がある
公認会計士の資格を取得するまでの流れは以下のとおりです。
公認会計士として認められるためには、3つの試験に合格しなければなりません。
- 短答式試験
- 論文式試験
- 修了考査
公認会計士の第一関門は「短答式試験」です。
短答式試験を突破することができれば、つぎは「論文式試験」を受験することができます。
論文式試験に合格すれば監査法人へ就職するのが一般的です。ただしまだ「公認会計士」とは名乗れません。この段階では日本公認会計士協会の準会員という立場です。
2年間の実務経験や3年間の補習所での実務補修を経て、「修了考査」を受験することができます。修了考査に合格をすれば晴れて公認会計士として認められることとなります。
公認会計士への道は長いです。
公認会計士試験の合格率が1割と言ったのは、短答式試験と論文式試験の両方に合格した人の割合が1割ということです。
短答式試験の合格基準は約7割
短答式試験は公認会計士試験の最初の関門です。12月と5月実施しているため、年に2回チャンスがあります。
短答式試験の受験科目は4科目で、回答方法はマーク式となっています。
マーク式なのでカンでそれなりに点数が取れるとはいえ、科目数・難易度ともに高いレベルにあります。
合格基準は4科目の総得点の7割くらいが目安です。合格者数をコントロールするため7割以上でも合格できない年もあります。
論文式試験の合格基準は得点比率(偏差値)52%
短答式試験に合格したあとは論文試験を受けることができます。
受験科目は5科目で、回答方法は記述式となっています。試験は3日間にわたって行われ、試験時間も2時間から3時間でかなりハードです。
合格基準は得点比率52%となっています。得点比率って?となりますが、偏差値のことです。
論文式試験は「ある科目で〇点以上取らなければいけない!」ということはなく、受験生の中で高い偏差値を取れれば合格です。
最終合格率は約10%!短答式試験は約15%、論文式試験は約36%
公認会計士・審査審議会のホームページに公表されているデータをもとに、論文式試験の合格率を表にしてみました。
合格率はここ10年間は約10%です。
※出典:公認会計士・審査審議会のホームページより筆者がグラフを作成
この10%という数字は、短答式試験・論文式試験の両方を突破した最終合格者の割合です。
短答式試験、論文式試験それぞれの合格率はもっと高くなります。
【短答式試験の合格者数の推移】
短答式試験の過去10年間の合格者数をみてみますと、短答式試験の合格率は10年間の平均で15.6%です。
※ 合格率 = 合格者数 ÷(願書提出者数ー試験免除者数)。短答式試験は一度合格すると3年間試験免除となるため、試験免除者を除いて計算。
【論文式試験の合格者数の推移】
論文式試験の願書提出者数の中は短答式試験に合格していない人も含まれているので、論文試験にチャレンジした人の合格率となるともっと高くなります。
論文式試験を受験した人の合格率は、10年間の平均で35.8%です。
※ 合格率 = 論文式試験の合格者数 ÷ 論文式試験の受験者数
論文式試験は短答式試験をクリアした人だけが受けることができる試験なので、合格率を見ると高くなっています。
合格までの勉強時間は4,800時間
一部の天才的な人をのぞいて、合格までに2〜3年、勉強時間は3000〜4000時間かかるのが一般的です。
私の経験をベースに語ると
勉強にかけた期間は2年半、時間にしてトータル4,800時間になります。
社会人になってから公認会計士を目指したので、仕事をやめて受験勉強に集中しました。
365日勉強し続けるのは体力的・精神的に無理なので、平日はしっかり勉強、土日はしっかり休むとメリハリをつけて勉強していました。
ざっくり計算すると
8時間 × 20日 × 12カ月 ×2.5年 = 4,800時間
少なくとも4800時間は勉強した計算です。
公認会計士試験はなぜ難しいのか?その6つの理由
なぜ公認会計士試験は難しいのか自分なりに6つの理由を考えてみました。
1 勉強する範囲がかなり広くインプット量が膨大
科目数は短答式試験と論文式試験を合わせて6科目しかありませんが、少ない科目数のわりに勉強する範囲はかなり広いです。
予備校からもらったテキストは全部で40冊以上。すでに処分してしまいましたが、ダンボール2箱ありました。
それだけの量の知識をインプットするのにも相当な労力を要します。「ちょっと受けてみようか」という軽い気持ちの人はまず音を上げます。
2 アウトプットのバリエーションが豊富でさまざまな能力が必要とされる
試験の問題形式がマークシート方式と記述式のふたつあり、単純な暗記だけではまず対応できません。
試験問題の出題形式も多岐にわたります。
- 電卓をいかに正確かつ早くたたいて結果を出すかを問われる計算問題(財務会計論)
- 会計処理の理論的な説明が必要となる論述問題
- 法律の知識を問われる問題(企業法や監査論)
- 監査の実務的な問題
インプット量が膨大だけでなく、アウトプット方法にバリエーションがあるため、受験者はいろいろな能力が必要とされます。
電卓を左手でスピーディーに叩く能力、論理的な思考能力、論理的な文章を書く能力、法律を覚える能力など。
3 科目数が少ないので、ひとつの科目を落とすと痛い
科目数が6科目しかないことが試験の難易度を上げています。
科目数が少ないということは、ひとつの科目の点数が低いとそれだけインパクトが大きいということ。
論文式試験は全科目の合計で偏差値52をクリアすれば合格ですが、1科目でも低い点数を取ってしまうと、他の科目で挽回するのが難しいです。
4 論文式試験2日目の会計学でコケる
論文式試験は2日目の会計学が一番のヤマとなります。午前中は管理会計分野、午後は財務会計分野からの出題となり、午後は試験時間が3時間。体力的にキツイです。
公認会計士を目指す以上は数字に強くないといけないのですが、どうしても会計学の複雑な計算を苦手としてしまう人が多いようです。
財務会計の連結財務書類の作成はとても複雑な計算です。そのような会計処理を行うための理論的背景が頭にないとまったく歯が立ちません。
会計学は配点も300点となっていて、論文式試験の総配点700点の半分近くを占めいているので、会計学でコケてしまうとほかの科目で挽回するのはかなり厳しいです。
逆に会計学で良い点が取れると、ほかの科目が多少できなかったとしても合格がぐっと近づくことになります。
5 受かるための勉強をしていない
公認会計士試験は相対的試験です。必ず何点以上取らなければならないというわけではなく、受験生の中で高い偏差値を取れば合格できます。
ほかの受験生が解ける問題は確実にクリアし、平均的な受験生よりも少しだけ高い点数を取ればいいわけです。
逆にいえば、難しい問題が出題されたとしても、周りの受験生も正答できないはずなので、解けなかったからといって落ち込む必要はありません。
いちばんダメなパターンは「自分の得意な分野はこれだ!」とマニアックな箇所を徹底的に突き詰めること。ひとつの科目をパーフェクトにしても合格は近づきません。
公認会計士試験に合格するためのベストな戦略は
- 自分の得意分野にしぼって高得点を目指さないこと
- ほかの受験生ができる問題を取りこぼさず確実に点数を稼ぐこと
- ほんの少しだけほかの受験生より得意な分野を持つこと
6 論文試験対策が不十分
論文式試験はとにかくたくさん計算し、たくさん文章を書きます。論文式試験を突破するためには回答をするための訓練が必要です。
その訓練とは
- 本番と同じ試験時間で回答すること
- 本番と同じ環境(周囲にたくさんの受験生がいる)でやること
です。
3日間に及ぶ長丁場と最長3時間におよぶ試験時間は体力的にも精神的にも相当ハードでした。
本番でいきなりそのような環境で回答しろと言われても、普通の人はまずいつも通りの力は出ません。あらかじめ本番と同じような環境で試験を受ける訓練を多く積んでおくことが必要です。
論文試験対策は答案を添削してもらって理解が足りない箇所を見直すだけでなく、本番さながらの環境下で場数を踏むことを意識して取り組んでください。
令和3年以降の合格者は微増すると予想します
公認会計士試験の合格者数の推移をもう一度振り返ってみましょう。
今度は平成16年以降の過去16年間をグラフにしてみます。
平成18年に合格者数が一気に増え、その後に合格者数が減っていることがわかりますね。
公認会計士試験は平成18年に大きな改正が行われ、合格者を増やすこととなりました。
その当時は「国際会計基準」や「内部統制システム」の導入など、公認会計士の業務の範囲が広がり、専門的人材を多く育成する必要があったのです。
平成18年以前は1,300人台であった合格者数を一気に増やし、平成19年にはそれまでの4倍ほどの4,000人もの合格者数となりました。
しかし、期待されたほど公認会計士の業務の幅が広がることはなく、難関試験に合格したものの監査法人へ就職できない人材が700人を超えたことが社会問題となってしまいました。
その後合格者数は減少に転じ、1000人台をキープしています。平成18年頃の受験者はある意味でラッキーでした。
このように公認会計士の合格者数は社会的な背景によってかなり波があり、今後も時代とともに変動すると思います。
近年は大企業の粉飾決算などの問題があいつぎ、監査法人の信頼回復のため人材が必要となったため合格者数は微増しています。今後も合格者数は微増するというのが私の予想です。
公認会計士試験は簡単に受かる試験ではありませんが、今後チャンスは増えると思うのでぜひ挑戦してみてください。
2022年私がおすすめする予備校 1位東京CPA学院・2位大原
公認会計士試験合格への近道は合格できる予備校を選択することです。
2022年時点で私が公認会計士の試験勉強を始めるなら、CPA会計学院を選びます。
初学者にも分かりやすい授業をする講師がLECからCPA会計学院
また、近年はCPA会計学院
長期的な合格実績では大原がダントツなのは間違いないですが、勢いのある予備校には優秀な受験生や講師が集まってくるので直近の傾向を見るとCPA会計学院
合格実績から選ぶとすれば、2021年こそCPA会計学院にトップを明け渡したものの長年、合格実績No1の座を獲得してきた大原を選択するべきです。
合格実績を長年維持することは優秀な講師陣とフォロー体制がなければできないことなので、これから公認会計士試験の勉強を始める人にも間違いがない予備校としてすすめることができます。
経済的負担については大原を選ぶことで多少受講費用が多くなりますが、無事合格して公認会計士になればそんな金額はすぐに回収できます。
タイプ別おすすめの予備校
私の独断によるタイプ別のおすすめ予備校は次のとおりです。
充実したカリキュラムの予備校で確実に合格したい
実績があり間違いのない予備校を選びたい
受験合格に特化して最小の労力で合格したいクレアール