どうも、コウです。
「公認会計士」という資格をご存知だろうか。
公認会計士は、医者、弁護士と並ぶ難関資格といわれる。
おもに企業の財務諸表が適正か否か独立した立場から監査をするが、財務諸表作成支援やコンサルティングなども行う会計に関するプロフェッショナルである。
私は今、公認会計士として働いてる。
最初は四大監査法人(新日本、トーマツ、あずさ、あらた)の中の一つの監査法人に就職し、4年目に地方の会計事務所に転職した。
私のこれまでの実体験から、監査法人に勤める公認会計士の年収や仕事のやりがいをお伝えしたい。
目次
公認会計士の年収は高いの?
公認会計士は儲かるイメージがあるのだろうか?
ぶっちゃけよう。公認会計士の年収は一般のサラリーマンよりは高いといえる。
監査法人に勤める会計士の年収
公認会計士試験の合格者の多くは監査法人に就職する。私も最初は監査法人に就職した。
初年度の年収は約500万円。大卒サラリーマンの平均よりは多いかと思う。2年目の年収は570万円、3年目は650万円であった。
監査法人の給与は職階が上がればそれなりに増えていく。私の感覚では以下のようなイメージだ。
① スタッフ(4年)500~700万円
② シニア(4年)700~900万円
③ マネージャー(4年)900~1100万円
④ シニアマネージャー(4年)1100~1200万円
⑤ パートナー 1400~4000万円???
( )の数字は最短で昇格した場合
入社して3年目までの職員は「スタッフ」と呼ばれ、年収は500~700万円。4年目になるとほぼ全員が「シニア」に昇格するが、年収はアッパー900万円くらい。20代のうちの年収は500~900万円に過ぎない。
シニアまではほぼ全員昇格できるものの、マネージャーになれるのは全体の20~30%程度しかいない。マネージャーにならずに滞留する人も多い。
マネージャーになれれば年収は1000万円オーバーが可能だ。その上のシニアマネージャーになれるのは、さらにその半分くらいだろうか。
トップのパートナーはさらにごく限られた人しかなれない。感覚的には同期入所のだいたい2~3%程度か。
パートナーまで上がれば自分の実力次第で年収は上がる。たくさん顧客を捕まえてこれる優秀なパートナーは4000~5000万円稼げると思われる。
一番出世が早い人で40代前半でパートナーになれる。40代前半で年収数千万円も夢じゃないとなれば、公認会計士は儲かる資格なのかもしれない。
だが、監査法人勤めの会計士は所詮はサラリーマンだ。上司に気に入られなければ出世はできない。
監査法人内で出世する人はこういった人だ。
- 忍耐力のある人
- 上の舎弟になれる人
- 勉強好きな人
監査法人は半端なく忙しい。監査法人で登りつめられるのは、激務に耐え上司の舎弟になれる人間だ。
さらに、会計基準や制度の改正に対応するために日々勉強をしなければならない。
たしかに年収は高いが、長い下積み時代(舎弟時代)、パートナーまで昇格できるのはごく一部。
勉強することも多い上に激務となれば、割りに合わないし、監査という業務そのものに見切りをつけて転職する人も多いのが現状だ。
地方の会計事務所に勤める会計士の年収
公認会計士は転職業界であり、同じ監査法人で働き続ける人はごくまれだ。
多くの人がほかの会社や会計事務所などに転職していく。その先の年収は本当に人それぞれだろう。
ちなみに、自分は4年目(32歳)で地方の会計事務所転職したが、年収は600万円ほどに下がった。
とはいえ、会計士不足の地方では資格取得者は優遇されるため、資格手当が月に10万円つく。会計事務所内のほかの社員に比べると高い給与をもらっていると思う。
監査法人の残業・休日出勤
ここからは監査法人に勤める会計士の福利厚生について見ていこう。
監査法人は忙しい。監査法人時代の残業申請をした時間と休日出勤の時間を表にしてみた。
残業時間(h) | 休日出勤(h) | |
---|---|---|
1月 | 37 | 0 |
2月 | 47 | 0 |
3月 | 72.5 | 0 |
4月 | 73.5 | 0 |
5月 | 90.5 | 92 |
6月 | 68 | 14 |
7月 | 44 | 0 |
8月 | 37 | 0 |
9月 | 31 | 0 |
10月 | 76 | 19.5 |
11月 | 75 | 0 |
12月 | 53 | 0 |
合計 | 704.5 | 125.5 |
平均 | 58.7 |
残業時間のすべてを申請できたわけではないので、実際の残業時間は1割増しと考えてほしい。
公認会計士は季節労働者のようなところがあり、3月決算企業が多いため4~6月が最も忙しく、7~9月は比較的余裕がある。
私は一般的な企業ではなく特殊な業界を主に担当していたため、もっともハードな時期は5月だったが、平日は毎日終電帰り、土曜日もすべて出勤で、休めるのは日曜日だけだった。
繁忙期の忙しさは尋常ではなく、体力と精神力がある者ではないと生き残れない世界だと思う。
とくに40代以降は体力的にかなりキツイだろう。監査法人では職階が上がったとしても仕事が楽になるわけではなく、逆により忙しくなったりもするので体力に自信がないとやっていけない。
監査法人の休み
私が勤めていた監査法人の有給休暇は年間20日あった。年度中に取得できなかった分は、翌年に繰り越されていたが、仕事が多忙で、20日丸々取れる人はまずいなかった。
夏休みは7~9月に5日ほどあり、こちらは休みやすい時期でもあるため多くの人が消化していた。
監査法人の福利厚生
監査法人の福利厚生については大企業と比べるとよくない。
痛いのは、家賃手当てがないこと。大企業であれば家賃の半額補助や借り上げ制度があるところもあろうが、そういった制度は一切ない。
福利厚生は必要最低限しかない。あえて言うならば健康保険組合が提携している「カフェテリアプラン」がある。
勤続年数に応じてカフェテリアポイントが付加され、健康食品やミネラルウォーターを買ったり、ディズニーランドのチケットの補助券がもらえるというものだ。
会計士の仕事のやりがい
私は公認会計士になる前は、行政職の公務員として3年間勤務していた。公務員時代と比べて、公認会計士の仕事は非常にやりがいがあると感じている。
まず、会計に関する知識が身に付いたことで、プロフェッショナルとしての仕事ができる。大手監査法人に勤めていたときは、誰もが知っている大企業を相手にし、社会への影響力が大きな仕事をしているという自負があった。
さまざまなクライアントのところに出向いて仕事をするので、自社のオフィスビルにこもっているだけでなく、いろいろな会社を見て回れることも面白かった。
現在は地方の会計事務所に勤務しているが、小さな事務所であるため1人1人の責任が重い。大きな組織の歯車になるのではなく、自分の名前で仕事をするのは、責任は重くとも成果も見えやすくて面白い。
将来の独立開業も視野に入れて、日々の仕事をこなしている。
ワークライフバランス
大手監査法人に勤務している限り、ワークライフバランスの実現は難しい。同僚は仕事が多忙すぎて毎日帰りが深夜に及び、妻から「うちは日中母子家庭だね」と皮肉を言われたらしい。
私自身も監査法人時代は、平日は我が子が起きている時間に会えることがほとんどなかった。
これではあまりにも私生活が犠牲になっていると感じ、入社4年目に転職活動を開始し、地方の会計事務所に転職をした。
前述のとおり給料は下がったが、週に2~3日は夜7時に帰宅して子どもを風呂に入れ、寝かしつけられるようになった。
公認会計士はつぶしが効く資格なので、ワークライフバランスを実現したければ、私のように転職して自分で働き方を選ぶことも可能だ。
まとめ
公認会計士資格はひと昔前よりは旨味がなくなった。
試験の難しさや長い労働時間と責任の重さに対して、あまり稼げる資格ではなくなって来ている。
だが、専門的な知識が身につくこと、転職がしやすいこと、地方では資格保持者が重宝されること、独立開業も視野に入れられることは魅力だと思う。
この記事が公認会計士を目指す方の参考になれば嬉しい。