こんにちは、ユウリです。3カ月間独学で勉強して、平成27年保育士試験に一発合格しました。保育士試験の合格のコツをブログに書いています。
今回は筆記試験「保育の心理学」です。傾向と対策をまとめました。
目次
保育の心理学の出題傾向
平成28年度の試験の出題範囲
平成28年度前期試験はこちらの範囲から出題されています。
【子どもの発達理解】
- 感情の発達と自我 2問
- 知覚と認知の発達 1問
【生涯発達と初期経験の重要性】
- 生涯発達と発達援助 1問
- 胎児期及び新生児期の発達 2問
- 乳幼児期の発達 3問
- 学童期から青年期の発達 2問
【子どもの発達と保育実践】
- 個人差や発達過程に応じた保育 3問
- 身体感覚を伴う多様な経験と環境との相互作用 1問
- 環境としての保育者と子どもの発達 1問
- 子ども相互のかかわりと関係づくり 2問
【保育における発達援助】
- 基本的生活習慣の獲得と発達援助 1問
合計20問
子どもの発達や心理学について薄く広く出題されている印象。「感情の発達と自我」「知覚と認知の発達」「乳幼児期の発達」「個人差や発達過程に応じた保育」「子ども相互のかかわりと関係づくり」は、過去2年連続で出題されています。
平成28年度の試験の出題形式
出題形式はこのようになっています。
- 用語の穴埋め問題 5問
- 〇✖組み合わせ問題 9問
- 組み合わせ問題 3問
- 事例問題 3問
内容的には基本的な知識を覚えていれば解ける問題がほとんどですね。
問題も解きやすいです。社会的養護みたいに長ーい文章を読まなきゃいけない問題がない。
ポイントをしっかり理解して暗記すれば一発合格できるでしょう!
保育の心理学の勉強法
保育の心理学は小手先の受験テクニックが使える問題は少なく、暗記しているかどうかがすべて。覚えている者が勝ちます。
これまでさんざん言っていることですが、 テキストを読んで内容を理解したうえで、問題をたくさん解いてください。
知識をインプットするためには、アウトプットに時間をかけることが大事なんです。問題集をくりかえし解くことで知識を定着させましょう!
保育の心理学の覚えておくべき知識
平成28年度の過去問を見ながら、保育の心理学の覚えておくべき知識をおさらいしてみましょう。
感情の発達と自我
問 16 次の文は、乳幼児が日常示す行動である。A~Dの行動の基盤となる発達心理学の用語として、あてはまる語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
A 見慣れた人と見知らぬ人とを区別することができるようになり、見知らぬ人が関わろうとすると、顔をそむけたり、泣き叫んだりする。
B 保育者がほほえみかけたり、口を大きく開けたりしてみせると、乳児も同じような表情をする。
C 保育者が向かい合ってボールをゆっくり転がして近づけると、ボールを押し返すような動作を繰り返し楽しむ。
D 保育者が子どもに絵本を読んであげている時に、絵本に描かれたりんごの絵を見て子どもが食べるふりをする。
【語群】
ア 社会的不安 イ 8ヶ月不安 ウ 共鳴動作 エ 共同注意
オ ターンテイキング カ メンタルローテーション キ 社会的模倣 ク 表象機能
(組み合わせ)
A B C D
1 ア ウ オ キ
2 ア ウ カ ク
3 ア エ カ キ
4 イ ウ オ ク
5 イ エ カ キ
正解4
保育の心理学はこんな問題がとても多いです。組み合わせ問題ね。覚えていれば分かるんだけど、細かい内容を聞いて来る。でも、どれかひとつでも分かれば選択肢はしぼれますね。
A 赤ちゃんは生後8カ月頃になると、知っている人と知らない人の区別がつくようになって知らない人を見ると泣き出したりします。いわゆる人見知りってやつです。これを「8カ月不安」といいます。
B 赤ちゃんが親の真似をして笑ったりすることを「共鳴動作」と言います。まさに大人に共鳴しているんですね。ちなみに「共同注意」とは赤ちゃんが親に見てほしいものを指さしたり、親が見ているものの方向を見たりすることです。
C マニアックなので省略。
D 2歳頃になると、子どもはりんごの絵を見て食べるふりをしたりするようになります。これを「表象機能」といいます。
知覚と認知の発達
問4 次の文は、ピアジェ(Piaget, J.)の理論に関する記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 物は隠れていても存在し続けているという物の永続性の理解は、ピアジェ(Piaget, J.)が提唱した月齢よりも早い時期であることがその後の研究によって示されている。
B 誕生から3歳頃までの子どもは、触る、叩く、なめる等の感覚運動を通して世界を理解している。
C 前操作期の子どもは、イメージや言葉を用いて世界を捉えることができるようになるが、それは自己中心的で、知覚的特徴に影響されやすい。
D 外界の対象に働きかける際に、その対象を自分に合うように変化させて、自分の内部に取り入れることを調節という。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ ○ × ×
3 ○ × ○ ×
4 × ○ ○ ○
5 × × ○ ×
正解3
ピアジェはめちゃくちゃよく出ます!この表の中身は絶対に覚えておきましょう。
感覚運動期 | 0~2歳 | 見る、聞く、触る、といった感覚体験をとおして世界を認識する。同じ行動を繰り返すことを循環反応という。 |
---|---|---|
前操作期 | 2~4歳 | ごっこ遊びや見立て遊び、ふり遊びをするようになる。イメージや言葉をもちいて世界をとらえられるようになり、目の前の犬とプードルや動物といった概念が対応していることが分かるようになる。(概念化) しかし、「並べ替えたり、入れ物を替えたりして見かけが変わっても、大きさ、長さ、量などは変化しない」という「保存の概念」は獲得されていないため、見た目の変化に左右された判断をしがち。物事を自分から見える見かけだけで判断する自己中心性がある。 |
具体的操作期 | 7,8歳~11・12歳 | 保存の概念を獲得し、見かけの変化にまどわされずに判断できるようになる。 |
形式的操作期 | 11・12~14・15歳 | 仮定の話を現実にあてはめて、もっともらしさを検証できるようになる(仮説演繹的思考) |
A 近年の研究では、ピアジェが想定していたよりも早い時期から、乳幼児が物の永続性や同一性、恒常性を理解していることがわかってきています 。
B 触る、叩く、なめる等の感覚運動を通して世界を理解しているのは、2歳までの感覚運動期です。
C 〇
D 対象を自分に合うように変化させて、自分の枠組み(シェマ)に取り入れることは「同化」。「調整」とは、枠組みに取り込めない対象に合わせて、枠組みの方を変えることです。枠組みに取り入れるのが「同化」、枠組みを変えるのが「調整」と覚えましょう。
乳幼児期の発達
問7 次の文は、「保育所保育指針」第2章「子どもの発達」の2「発達過程」の一部である。それぞれにあてはまる発達過程の区分の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 基本的な運動機能が伸び、それに伴い、食事、排泄、衣類の着脱などもほぼ自立できるようになる。
B 歩く、押す、つまむ、めくるなど様々な運動機能の発達や新しい行動の獲得により、環境に働きかける意欲を一層高める。
C 歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能や、指先の機能が発達する。
(組み合わせ)
A
B
C
1
おおむね 1 歳 3 か月から 2 歳未満
おおむね 3 歳
おおむね 2 歳
2
おおむね 1 歳 3 か月から 2 歳未満
おおむね 2 歳
おおむね 3 歳
3
おおむね 2 歳
おおむね 3 歳
おおむね 1 歳 3 か月から 2 歳未満
4
おおむね 3 歳
おおむね 1 歳 3 か月から 2 歳未満
おおむね 2 歳
5
おおむね 3 歳
おおむね 2 歳
おおむね 1 歳 3 か月から 2 歳未満
正解 4
「保育所保育指針」第2章「子どもの発達」の2「発達過程」は、本当によく出るんですよ。丸暗記してもいいくらい。覚えてください。保育所保育指針も読んでくださいね!
おおむね6か月未満 | 特定の大人との情緒的な絆。 |
---|---|
おおむね6か月~1歳3か月未満 | 座るから歩くへ。活発な探索活動。愛着と人見知り。言葉の芽生え。離乳の開始。 |
おおむね1歳3か月~2歳未満 | 行動範囲の拡大。象徴機能と言葉の習得。周囲の人への興味・関心。 |
おおむね2歳 | 基本的な運動機能。言葉を使うことの喜び。自己主張。 |
おおむね3歳 | 運動機能の高まり。基本的生活習慣の形成。言葉の発達。友達との関わり。ごっこ遊びと社会性の発達。 |
おおむね4歳 | 全身のバランス。身近な環境への関わり。想像力の広がり。葛藤の経験。自己主張と他者の需要。 |
おおむね5歳 | 基本的な生活習慣の確立。運動能力の高まり。目的のある集団行動。思考力の芽生え。仲間の中の人としての自覚。 |
おおむね6歳 | 巧みな全身運動。自主と協調の態度。思考力と自立心の高まり。 |
A 食事、排泄、衣類の着脱などもほぼ自立できるようになるのは、おおむね3歳です。
B 歩く、押す、つまむ、めくるなど様々な運動機能が発達するのは、おおむね 1 歳 3 か月から 2 歳未満です。
C 歩く、走る、跳ぶなどの基本的な運動機能が発達するのは、おおむね 2 歳です。
問 18 次の文は、アタッチメント(愛着)の形成についての記述である。適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 乳幼児は、親との分離、見知らぬ人、見知らぬ場所、けがなどを体験したときなどに、特定の養育的他者(愛着対象)に近づいて安心感を得ようとする。この行動傾向を愛着と呼ぶ。
B 愛着は、乳幼児期に形成されるが、成人期に愛着は働かないため、成人は愛着行動を示さない。
C 生後2、3か月において、特定の愛着対象が明確である。
D 乳幼児との安定した愛着関係を形成するためには、でき得る限り身体的に接触していることが望ましい。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × × ×
4 × ○ × ○
5 × × ○ ×
正解 3
A 〇
B これは常識で分かるとおり、大人だって他者に愛着を覚えます。大人も人見知りしますしね。
C 特定の人物との間に愛着が明確になるのは生後6カ月から。ママを追って後追いしたり(接近行動)、ママにしがみついて安心を求めたり(安全基地)するように。8カ月頃から人見知りも始まります。
D 身体的に接触するだけでなく、赤ちゃんに応答的に関わって情緒的な絆を形成していくことが大事ですね。赤ちゃんが泣いているときは、何かを訴えているんです。オムツが濡れているのかな?ミルクが欲しいのかな?赤ちゃんの求めているものに答えてあげましょう。
ボウルビィの愛着理論は要チェックです。
第1段階 | 出生~12週頃 | 人物を問わず、目で追ったりする。(注視行動) |
---|---|---|
第2段階 | 12週頃~6か月頃 | 特定の人物を目で追ったり、微笑みかけたりする。(信号行動) |
第3段階 | 6カ月頃~2.3歳 | 子どもからしがみついたり、後を追ったりする。(接近行動)特定の人物との間に明確な愛着関係が成立する。人見知りが始まる。 |
第4段階 | 3歳前後~ | 養育者の感情や状況が推測できるようになり、自分の行動を調節できるようになる。 |
個人差や発達過程に応じた保育
問 19 次の【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。
【事例】
5歳の男児。保育所では、多動、不注意に加え、友達に暴力を振るう。男児の母親に家庭での様子を聴くと、母親も家庭で男児への対応に手を焼いており、とても困った様子で、自分がいかに苦労しているかということを保育士にとうとうと語った。母親はまだ専門機関には相談していないという。
【設問】
この【事例】における男児の母親に対する保育士の対応として適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。
A 話に耳を傾け、共感し、日々の苦労をねぎらった。
B 一緒に本児の良いところを共有し、良いところは積極的に褒めるように促した。
C 保健センターや児童精神科に相談することができることを伝えた。
D 保育所でも困っており、家庭で十分に指導するように伝えた。
(組み合わせ)
A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 × ○ ○ ×
4 × × ○ ×
5 × × × ○
正解1
個人差や発達過程に応じた保育は事例問題で出題されます。ポイントは保護者の味方でいることです。
保育士として求められる対応は、傾聴、共感、受容、専門家への相談を促すなどです。やってはいけないことは、否定、強制、放置などです。
A 話に耳を傾け、共感し、日々の苦労をねぎらう→〇
B 一緒に本児の良いところを共有し、良いところは積極的に褒めるように促した。→〇
C 保健センターや児童精神科に相談することができることを伝えた。→〇
D 保育所でも困っており、家庭で十分に指導するように伝えた。→✖このような子どもを一方的に否定する態度は保育士としてNGです。
子ども相互のかかわりと関係づくり
問8 次の文は、子どもの仲間との関わりについての記述である。下線部(a)~(d)に関連の深い語句を【語群】から選択した場合の最も適切な組み合わせを一つ選びなさい。
2~3歳頃では、(a)近くで同じような遊びをしていても、互いのやりとりはみられないことが多い。活発にやりとりをして遊ぶようになると、(b)自分がやりたいことと仲間のやりたいこととのぶつかり合いを経験することになる。その後、4~5歳になると、(c)相手の立場に立って、自分とは異なる相手の気持ちや考えを徐々に理解できるようになっていく。
したがって、保育士は子ども相互の気持ちや思いをつなぎ、子どもが(d)自分自身の気持ちをコントロールする力を身につけるように配慮する必要がある。
【語群】
ア 連合遊び
イ 対人葛藤
ウ 共感
エ 自己調整力
オ 平行遊び
カ 対人拮抗
キ 役割取得
ク 対人調整力
(組み合わせ)
a b c d
1 ア イ キ エ
2 ア カ ウ エ
3 オ イ ウ ク
4 オ イ キ エ
5 オ カ ウ ク
正解 4
a 2~3歳頃では、近くで同じような遊びをしていても、互いのやりとりはみられない「平行遊び」が多い。
b 3歳頃~自分がやりたいことと仲間のやりたいこととのぶつかり合いを経験することになる「対人葛藤」
C 4~5歳になると、相手の立場に立って、自分とは異なる相手の気持ちや考えを徐々に理解できるようになっていく「役割取得」
d 保育士は子どもが自分自身の気持ちをコントロールする力「自己調整力」身につけるように配慮する必要がある。
パーテンの子ども同士の関係性の変化は覚えておいてください。
2歳頃まで | 一人遊び | |
---|---|---|
2歳半頃 | 傍観 | ほかの子どもがしている遊びを見ている |
3歳頃 | 平行遊び | 近くで似たような遊びをしているが、お互いのやり取りは見られない。 |
4歳頃 | 連合遊び | ほかの子どもたちとやりとりをしながら遊ぶ。 |
5歳頃 | 共同遊び | 仲間の中で目的を共有し、役割を分担しながら遊ぶ。 |
まとめ
保育の心理学は実践的で、学ぶのが面白い科目です。個人的にはいちばん好き。楽しく勉強しながら高得点をねらってください!
- 保育の心理学は暗記科目。基本的な知識を覚えていれば解ける問題が多いので、一発合格をねらおう。
- テキストを読み、過去問題集をくりかえし解こう。
- ピアジェの理論はよく出るから絶対に覚えておこう。
- 「保育所保育指針」第2章「子どもの発達」の2「発達過程」は丸暗記しておいてもいいくらい。
- ボウルビィの愛着理論は要チェック。
以上、保育の心理学の出題傾向と覚えておくポイントでした!
保育士試験に関する記事はこちらにまとめました。合格のコツや効率的な勉強法まですべて書いたのでぜひ読んでみてくださいね。